コラム1 身体に優しい温泉を知る方法

皆さんは、温泉に入った後疲れを感じることはありませんか?しかも、行った温泉地によって疲れ具合が違うような。そこで根拠を調べていくと、緊張性と緩和性というキーワードが出てきました。これが、今回のテーマです。

自分にあった温泉探し

温泉は概して刺激が伴うものですが、その刺激の強さは違います。

私は刺激の強い温泉に入った後は、立ちくらみすることもしばしばで、行く前に刺激が少ない温泉が分かればいいのにと考えていました。刺激といっても、人により影響はさまざまですが、温泉の「泉質」で、一般的な刺激の傾向を判断することができるとか。硫黄かぶれに弱い、強塩泉は苦手といった向き不向きと合わせれば、自分に合った温泉も分かるかもしれません。

緊張性、緩和性とは?

「泉質」とは、温泉水の性質を分析した区分の名称のことで、温泉法により定められています。大分県湯布院温泉の「単純泉」や北海道登別温泉の「硫黄泉」などが例として挙げられますね。ここでは、緊張性と緩和性という基準で、温泉の刺激を考えたいと思います。人体への刺激の強さを「緊張度」といい、刺激の強い「泉質」を「緊張性」、刺激の弱い「泉質」を「緩和性」というのだそうです。

温泉分析表*1 にも、緊張性か緩和性かは書いてありません。そこで、代表的な泉質と緊張性と緩和性別の関係を一覧にしました。元とした資料「温泉のはなし」では旧温泉法の泉名で解説していましたので、本コラムでも合わせています。

緊張性の「泉質」 緩和性の「泉質」
酸性泉 単純温泉
硫黄泉 食塩泉
単純酸性泉 重曹泉
炭酸鉄泉 芒硝泉(ボウショウ)
緑礬泉(リョクバン) 石膏泉
明礬泉 重炭酸土類泉

緩和性の泉質の例
大分県湯布院温泉(単純泉ほか)
愛媛県道後温泉(単純泉)等

緊張性の泉質の例
群馬県草津温泉(含硫化水素明礬緑礬泉)
栃木県那須湯本温泉(含硫化水素明礬泉)等

強酸性で有名な草津温泉は刺激が強く、湯治で知られる湯布院温泉は刺激が弱いという結果になりました。なんだか、納得がゆくでしょう?

*1温泉分析表

脱衣室の入口で、額に入った温泉分析表を見た人は多いのではないでしょうか。では、脱衣室まで行かなければ温泉の「泉質」は分からないのかと思う方もいらっしゃるかもしれません。しかし、心配いりません。「泉質」は旅行書、テレビの旅行番組で載っていることが多く、簡単に知ることができます。

ここでは話を単純にするため、泉質と緊張性を一対一で述べましたが、実際には一つの温泉郷でいくつもの「泉質」をもった場所も少なくないですし、同じ「泉質」でも湯を実際に汲み出している「源泉」によって温泉成分が多く異なることがあります。

療養は専門医に相談

ここで提示した判断基準は絶対的なものではありません。病中、病後の人やこの情報を見て医学的な湯治をしたいという人は、専門家の判断が必要です。あくまで自己責任でお願いします。

参考文献

■温泉のはなし  1994/8/15第1版発行
「著者」白水晴雄、「出版社」技報堂出版

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