黒部「阿曽原温泉小屋」-登山者だけがたどり着ける名湯

黒部渓谷随一の景観下廊下の秘湯「阿曽原温泉小屋」に行ってきました。

山の斜面に作られた温泉付き山小屋です。トンネルから湧き出す湯を注ぎ込んだ源泉掛け流しの湯もすばらしく、夜は満点のパノラマが広がります。黒部渓谷鉄道の通じる「欅平」からは、「水平歩道」という断崖絶壁をうがって作られた登山道を長い時間かけて歩くしかありません。登山者のみに許された秘湯と言えるでしょう。道は困難ですが、絶景が待っています。

施設の説明

宿を紹介しましょう。一般的なお約束ですが、山小屋は限られた資源で運営されています。旅館のような設備は期待できません。みんなで一緒に雑魚寝になります。でも、みんなと仲良くなれるので、これもいいものですよ。
山小屋としては快適と思います。谷に面しているため、水も豊富。お手洗いも清潔です。自動販売機まであります。

食事前に建設秘話が上映されます。食べ放題のカレーも美味。兼業農家なので、食材も自家製だそうです。ご飯がおいしかった・・・

入浴の感想

谷間の露天風呂へ

露天風呂へは、小屋からテントサイトを経由して急な斜面を下ること徒歩10分。斜面の下からもうもうと湯気が上がっているのが見えると、期待感もいやましますね。危ないので、宿のサンダルは使わないほうがいいです。

脱衣所はトンネルの中

脱衣所は、露天風呂そばのなんとトンネル!ダム工事の生き証人です。スノコが敷かれただけですが、雨は十分防げそうです。トンネル全体が熱気に包まれているので、まったく寒くないです。

源泉掛け流し。高熱隧道の湯

源泉は、脱衣所のあるトンネル。仙人谷ダム建設時の高熱水の排出トンネル(※1)だったそうです。奥は今でも湯の池状態。ゴボゴボという音を立てて、湯があふれ出してます。大きさとしては巨大な露天風呂になりそうですが、高温のため茹でたカエルになりかねませんので、入浴は禁止です。

<露天風呂>

湯船はコンクリート打ちっぱなしですが、6人以上がゆったり入れる広さ。銭湯の友、ケロリン洗面器もいっぱい。
なぜにケロリン?源泉のトンネル側はとにかく熱い!入り口側は谷水を引いてあるので、好みに合わせて湯船を行ったりきたり。湯は無色透明、小さな白い硫黄の湯の花が浮いています。周囲の森と谷川のきらめき、あぁ疲れがとれる・・・

温泉風景
露天風呂。後方の湯煙はトンネル出口


露天風呂からの眺め

風呂は、露天風呂のみ。男女1時間交代制。小屋の受付に時間表があります。

夜間は、満点の星空の元の入浴♪

千尋の黒部渓谷ですが、阿曽原はカーブ部分に当たるので、意外と空が広いのです。星空が湯けむりに見え隠れする姿が実に情緒的。途中の道も風呂も一切明かりはないので、ライトは必須です。まったく明かりが存在しない中での入浴は初めての経験でした。

※1 建設時の苦労は、吉村昭の小説「高熱隧道」で詳しく語られています。

周辺情報

阿曽原温泉が属する黒部渓谷は、圧巻の渓谷美。1年に1ヶ月弱しか通過できなかったり、途中エスケープルートがないなど、難易度は 高めだが、それに見合う素晴らしさ。


水平歩道 断崖をうがった道

旧日電歩道 十字峡

剣沢大滝はこの上流
温泉施設名 あそはらおんせんこや
阿曽原温泉小屋
住所 富山県下新川郡宇奈月町浦山1402-2
(連絡先)
TEL 0765-62-1148(衛星電話)
日帰利用時間 営業時間内
日帰料金 500円
定休日 小屋営業中は無休。
営業期間は、7月中旬-10月末
泉質 単純硫黄泉
公共交通機関 黒部渓谷鉄道  欅平駅から徒歩5時間
周辺地図 googlemap
公式サイト http://azohara.niikawa.com/

訪問日:2008/10

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